酒飲みの言い分

酒飲みの言い分

 

酒を飲むのは、酔っ払うためと決まっている。だから、一杯目から酔うように、いや一口目から酔うようにしなければならない。酒を飲んでも酔わないなどと胸を張っているものは、酒を飲む資格が始めからない。なにお置いても、酔わなければならない。しかし、その酔いを継続することが難しい、どんどん酔っ払っていって訳がわからなくなるようでは失格である。酔っている気分のいい状態を維持しながら、杯を重ねていく。

しかし、ここで大事なのは、朝起きた時にはうっすらと二日酔い状態まで飲むことである。そして、布団から出て顔を洗ったり、トイレに行ったりしているころに酔いが覚めてくるのが最高の飲み方である。朝起きたときに酔いがすっかり覚めているようでは飲みが足りないし、目覚めてしばらくしても酒が残っているようでは飲み過ぎである。

この酒の適量というのが難しい。自分自身のその日の活動量や体調も考慮しなければならないし、その時の気候もある。さまざまな状況を考えて、酔っ払った状態でどこで杯を置くかが勝負である。五十年近くこのことに挑戦しているが、うまく酒量を飲みきることは年に数回である。この未熟な自分を省み、今夜も酒と向かい合っている。

誠に酒の道を究めることは難しく、また挑戦のしがいのあることである。だから、一年365日欠かすことなく取り組んでいる。