ボルトの存在感

ボルトの存在感

 

短距離のボルトといえば、100m,200mの世界記録保持者であることはよく知られている。世界大会になると、ボルト一人で7万人の人間を集めて競技場のスタンドを埋め尽くすとも言われていた。司会、ボルトが先頭を駆け抜けていた時代は、二番手以降の記録は非常に平凡なものであった。それが今回の世界陸上で、大変な変化が起った。

ボルトが引退しての初めての世界大会であるドーハでの世界陸上では、アメリカの若手スプリンターが100m200mでそれぞれ好記録で優勝し、400mリレーのアメリカは世界暦第2位の記録で勝った。

ボルトが引退して世界の短距離界はどうなるのかと心配していたが、見事な活躍振りで記録的にも充分に見るに値するものであった。

ボルトが健在な時の、他の世界の短距離選手たちは、あまりのボルトの速さと強さに挑戦することすら諦めていたのではないか。物事、諦めてしまえば向上の余地などなく、記録も低迷し競争心も薄れていたのだろう。

しかし、ボルトが居なくなると、自分にもチャンスがあるだろうと、世界中の短距離選手の目が覚めて激しい競争が始まったということだろう。諦めが消えて、競争が始まれば、そこから素晴らしい新星が出てくるのは当たり前ではないか。そう考えると、ボルトという選手は、余りに強すぎて、世界中の短距離選手の挑戦意欲も向上心も全て諦めさせていたのではないか。それでは、周りは骨抜きにされてしまっても仕方がない、それくらいボルトは圧倒的に速かったということである。